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肝炎の種類とその対策

肝臓とは

おなかの右側にある最大の臓器です。体重の1/50 約1~2.5kgあります。
すごく働き者で、我慢強い臓器です。少しぐらいのダメージ(炎症)を受けても黙って働きつづけてるので病気になっていることに気づきにくいのが肝臓病です。
それ故に   <沈黙の臓器>  と呼ばれます。

肝炎とは

何らかの原因で肝臓に炎症がおこった状態で、腫れて熱を持っています。
腹部超音波検査で見ると炎症の起こった状態を確認することができます。
下の写真は、肝臓の超音波像です。左は、組織の正常な肝臓で全体的にシャープで組織のキメが細かく写ります。右の写真は肝炎を発症している肝臓で、腫れぼったく、組織がザラザラやデコボコした様子に写ります。

【正常の肝臓の様子】 【炎症の起こっている肝臓の様子】
正常の肝臓の様子 炎症の起こっている肝臓の様子

診断

血液検査にてAST(GOT),ALT(GPT)の上昇を示した場合に肝炎と診断します。

原因分類

以下のように大きく6ぐらいに原因を分類します
  1. ウイルス性肝炎
    A型肝炎−
    経口感染(食べ物から感染)一過性感染
    B型肝炎−
    母子感染、性行為感染(性感染症の一つです。)
    成人の感染は一過性感染が多い、キャリアー発症は慢性化することがある。
    C型肝炎−
    血液感染(輸血、血液製剤、注射器の使いまわし等)
    成人感染の7割慢性化
    D型肝炎−
    血液感染 単独発症せず、B型肝炎ウイルスと同時感染など。
    E型肝炎−
    経口感染 日本ではまれ。
  2. アルコール性肝炎−過度のアルコール摂取によって炎症が起こっています。
  3. 非アルコール性脂肪性肝炎−肥満等に伴って肝臓に脂肪がつき炎症が起こっています。
  4. 薬剤性肝炎−飲んだお薬を代謝する過程で起こっています。
  5. 自己免疫性肝炎−自分の免疫が関与して炎症をおこしています。
  6. 原発性胆汁性肝硬変−原因は不明ですが肝臓内の胆管が壊れ炎症を起こします。
上記のように肝炎を引き起こす原因はいろいろありますが、日本人の肝炎の約80%はウイルス性肝炎です。
なかでも多いのはA型,B型,C型肝炎です。
その肝炎と対策についてご説明します。

A型,B型,C型肝炎と対策について

A型肝炎

急性肝炎を起こすウイルスです。

日本国内での感染は少なくなってきています。

衛生状態の悪い地域を訪れた旅行者が帰国後発症するケースが増えています。そのような地域で生水、生食を採らない事が大切です。

発症しても安静にて自然軽快し、一度かかると永久免疫ができ2度と感染することはありません。

B型肝炎

一過性感染と慢性化の恐れのある持続感染をおこすウイルスです。

幼少時に感染しキャリアー(ウイルス保有者)の多くは無症候性ですが、約10%の人に慢性肝炎(6ヶ月以上肝機能異常が続いている状態)→肝硬変→肝がんを引き起こします。

一過性の急性肝炎に対しては安静が基本です。

慢性化した場合は、肝機能、ウイルス量、腫瘍マーカー、線維化マーカーなどの血液検査と画像検査(腹部エコー検査CT検査など)で現状を判定し肝機能異常(ALT値正常上限の1.5倍以上が2ヶ月以上)が持続すれば35歳未満ではインターフェロン治療が中心となり35歳以上では経口の抗ウイルス薬(エンテカビルなど)による治療があります。

予防には、B型肝炎ワクチンがあり、母子感染予防やハイリスク者(キャリアーの配偶者や医療従事者等)の感染予防に使用されています。

C型肝炎

C型肝炎ウイルス感染者の血液を介して感染します。

過去の輸血や刺青、注射器の使いまわし等で感染の可能性があります。感染力は弱く、日常生活では感染はほとんどありませんが、他人の血液に触れないことが大切です。現時点では、B型肝炎のような感染予防のためのワクチンはありません。

感染後も症状が軽く気付かないことが多く、30%の人は一過性の感染として治癒しますが、70%の人が慢性肝炎(持続的に感染)に移行します。健康診断などで肝機能異常を機に初めて感染を指摘されるケースも多いです。

慢性化すると自然治癒は稀であり、放っておくと慢性肝炎から肝硬変となり、肝臓がんが発生するリスクが高くなっていきます。

肝臓がんの80%はC型慢性肝炎が原因であり、ウイルス排除、肝機能を正常化させるため、また発がんを予防するためにも治療が必要です。抗ウイルス療法や肝庇護療法等を行います。

ウイルスを消失させる抗ウイルス療法として、以前はインターフェロンによる治療が主でしたが、副作用の問題やウイルス消失率が低いなどの問題がありました。2015年からインターフェロンを使わない飲み薬(ソホスブビル/レジパスビル、ソホスブビル/リバビリン)による治療が始まりました。内服期間は3カ月間です。現時点で、ウイルスのタイプに関係なくウイルス消失率がほぼ100%であり、副作用もほとんどないと言われています。保険適応であり、国からの補助を受けることもできます。

C型肝炎と診断されている人、以前にインターフェロンなどの治療が上手くいかなかった人(無効、再燃、副作用による中断)は、一度肝臓専門医にご相談下さい。 また、治療によりウイルスが排除された人も肝臓がんのチェックなどのために定期的な検査が必要です。

健康診断で肝機能異常を指摘された方は、
ウイルス性肝炎の有無について検査を受けて下さい。